いつもの「眠り」はいざという時のために
人生の3分の1を占めると言われている「睡眠」。
みなさんはふだんから良質な睡眠をとれていますか?
睡眠時間が十分ではない方や、睡眠の質に不満のある方が少なくないからか、巷には安眠グッズもたくさん流通していますね。
災害時の健康にも大きな影響を与える「睡眠」。いざという時にはどのように環境を整えたら良いのでしょうか。
目次
1.トイレよりも困った!?「眠れる環境」
出典:平成28年熊本地震「避難生活におけるトイレに関するアンケート」結果報告
協力:特定非営利活動法人日本トイレ研究所
大正大学人間学部人間環境学科の岡山朋子氏が、熊本地震被災者のうち仮設住宅に居住する世帯を対象に実施したアンケート調査の結果によると、避難生活の初期段階において、もっとも困ったことは何かという質問に、なんと66%の方が「眠れる環境」と回答し、「トイレ」と回答した人を上回りました。
以前のブログでご紹介したとおり、2人に1人が災害時に備えて食料品や飲料水を備蓄していました。
しかしながら、避難生活の初期段階で困った「睡眠」や「トイレ」への備えについては、まだまだ備えが不十分であることが分かります。
食品や飲料水については防災備蓄やローリングストック、フェーズフリーという言葉も浸透してきて、みなさんもイメージしやすいかもしれませんが、「睡眠」も災害時の健康維持には大変重要な要素です。
「睡眠」については、どのような備えが必要なのでしょうか。
2.キャンプがヒントに!どこでも寝られる睡眠グッズ
ブームを通り過ぎて、今やアウトドアカルチャーの代表格ともいえる「キャンプ」には、防災という視点からも魅力的なアイテムが沢山あります。
持ち運びに適した形状や、過酷な自然環境にも対応できる機能性は、災害時にも共通して活用できる特徴です。
良質な睡眠環境づくりに役に立ちそうなアイテムをいくつかご紹介したいと思います。
●寝袋
1つあればいつでもどこでも寝られる便利グッズ「寝袋」には、大きく分けて2つのタイプがあります。
手軽に使える「封筒タイプ」と、保温力が高い「マミータイプ」です。
封筒タイプはその名のとおり、長方形の寝袋です。多少かさばりますが、チャックを全て開くと大きく広げられて、ラグやブランケットとして利用範囲が広がります。
「マミータイプ」の「マミー」とはミイラのことで、頭まですっぽり入り、身体に沿った形状のため、保温力が高く、寒い地方や冬用の備えとしてピッタリです。
清潔な寝具さえ用意できれば、必ずしも家族全員同じもので揃える必要はありませんが、もし同じものが揃えられると、連結して使うこともできるので、小さなお子さんがいるご家庭では添い寝で安心させてあげることもできますね。
●スリーピングマット
寝袋はコンパクトにたたんで持ち運べてとても便利ですが、実際避難所などでは硬い床の上に寝ることが多く、寝袋があっても直接床の上で使うと、冷えたり、体が痛くなったりすることがあります。
できれば、空気を入れるエアタイプもしくは折り畳み式のウレタン製のスリーピングマットと一緒に使うとより快適になるでしょう。
空気を入れるエアタイプを選ぶ場合は、膨らませる必要があるので簡易的な空気入れも併せて用意されることをお勧めします。
●コット
床に直接寝るデメリットは冷えや硬さだけではありません。
避難所では多くの方が出入りされるので、チリやホコリを吸いこむ可能性もあります。
避難所によっては、段ボールベッドが用意されているところもありますが、もし無い場合にはコットがあると便利でしょう。
コットとは、アウトドア用ベッドのことで、床から少し高いところで寝られますし、エアマットが無くても、コットがあれば、寝心地など快適さも増すと思います。
折り畳み式になりますので、女性や子供でも組み立てやすいかどうかも重要なポイントです。
組み立てに慣れておく必要もありますので、ぜひふだんから出番を増やして練習しておきたいですね。
3.試してみて分かった「香り(ニオイ)」の影響
キャンプグッズをヒントに、災害時にも役立つ寝具をご紹介しましたが、便利な寝具を持っていても眠ることが難しい場合もあります。
寝具に加えて考慮が必要なのは、眠る「環境」です。
安眠には、「光・音・温度・湿度・香り」が重要な要素と言われています。
避難所では、睡眠時に限らずプライバシーの確保も難しいですが、アイマスクやタオルで目を覆ったり、耳栓やイヤフォンで周囲の音を遮ったりすることができます。
しかし、「香り・ニオイ」ばかりはその場で代用が難しいものです。
みなさんは、こんな経験はありませんか?
- 旅行の宿泊先に置いてある芳香剤の香りで具合が悪くなった
- 実家から送られてきた荷物から実家のニオイがしてホッとした
せっかく購入した寝袋やエアマットレスなども、初めて広げると新品の独特のニオイがすることがあります。
ニオイに慣れるまでなかなか寝付くことが出来ないばかりか、気分が悪くなる可能性も考えられますね。
ふだんから慣れ親しんだ香りやニオイは安心感を得ることができますので、購入して終わりではなくまずは広げて使い勝手を確認しながら、風を通したり、ご自宅の生活になじませることができると心強いアイテムになります。
先程ご紹介した封筒タイプの寝袋は、チャックを広げると掛け布団として日常使いできますし、逆にふだん使用している羽毛布団を寝袋として使える布団カバーがキャンプグッズメーカーから販売さています。
特にお子さんの寝具については、日常使いしているものをいざという時に使えるように整えておくことをおすすめします。
4.まとめ
睡眠環境を整えることは平常時でも難しいかもしれません。
災害時、避難所はもちろん在宅避難であっても、日常とは異なる状況で不安も大きくなり、良質な睡眠をとることはますます難しくなります。
最低限、暖を取る、身体を休めるという機能はもちろんですが、安心感を醸成するツールとしても、日常使いの寝具をいざという時にも使用できること、もしくは非常時用のツールをふだんから使ってみることにぜひトライしていただきたいと思います。
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